ここでは、 読者がウインドウズ上での操作の知識を持っており、 読者のPCに既にGaussian をインストールし、 ウインドウズに慣れているものとする。
Gaussianの計算のステップは次のようなものである。
メインのプログラムウインドウがオープンする。

これらの項目を順を追って説明する。
Gaussian ジョブを実行する前に、 インプットデータをインプットする必要がある。 File メニューは、 新しいインプットファイルを作ったり既存のファイルを変えたりするためのものである。

ジョブエントリーウインドウが現われる。 次のページに主なインプット部分を示す。

これから、 このウインドウを水分子のエネルギー計算のために埋めていく。
このウインドウは、 Gaussianのインプットファイルの構成に合わせていくつかの部分に別れており、 それぞれスクロールできるようになっている。 カーソルは、 初め % Section のところにあるのでTabキーを押して次のセクションへ移す。 シフトとTabキーを同時に押すと前のセクションへ戻る。 どのセクションへも、 マウスでクリックすることにより直接移ることができる。
このセクションは、 ジョブのルートセクションに当たり、 計算を実行するためのインストラクションとなる。
#T RHF/6-31G(d) Test
このルートセクションは、 この計算に必要な操作と基底系を指定する。
キーワード |
意味 |
|---|---|
| RHF | 制限されたHartree-Fock (制限された というのは分子に不対電子がないことをさす) |
| 6-31G(d) | 6-31G(d)基底系を用いる(これは便利でよく用いられる基底系) |
ここでは 6-31G(d) (6-31G(d))の基底系を用いて、 制限された(R)Hartree-Fock (HF)計算を行う。
ルートセクションは、 # のサインで始まる。 #Tは簡単なアウトプット(必要最低限な結果)を与え、 #だけだと標準のGaussianアウトプット、 また #P では最も詳細なアウトプットが得られる。
すべてのルートセクションは、 操作と基底系のキーワードを含める必要がある。 他のキーワードは、 計算のタイプや他のオプションを指定する。
ここでは、 一つだけ Test という他のキーワードを入れた。 これは計算の結果が、 Gaussian のアーカイブに記録されないという意味である (Gaussian 94Wにはこの記録のオプションはな。
Gaussianインプットファイルのタイトルセクションには、 簡単な(通常一行の)ジョブの説明をつける。 例えば、 下のような行をこのセクションに入れる。
My first Gaussian job: water single point energy
タイトルセクションは、 アウトプットにプリントされ、 Gaussian のアーカイブに記録されるが、 それ以外に用いられることはない。
これとその下のセクション(Molecule Specification)では、 分子の構造を指定する。 このセクションでは、 分子の電荷とそのスピン多重度を指定する。 それぞれの数値は整数型でタイプされ、 その間は一カラムか二カラムのスペースを空ける。
水分子は中性分子なのでその電荷は0。 スピン多重度は、 分子中のaスピン電子とbスピン電子の数に関するものである。 水分子は不対電子がないので一重項、 その多重度は1である(スピン多重度は第二章で取り扱う。 分子指定の一般については付録Bでさらに説明する。 )
![]()
分子指定セクションは、 分子中の原子のタイプと位置を指定する。 このジョブでは、 水分子の構造をカーテシアン配座でインプットする。
O -0.464 0.177 0.0
H -0.464 1.137 0.0
H 0.441 -0.143 0.0
これで、 このジョブに必要なインプットを終える。 最終的にスクリーンは次のページにあるようになる。 このインプットをファイルにセーブし、 このジョブを実行する。
ユーザーの指定するファイル名でインプットをセーブする。 希望のディレクトリを、 ウインドウズのセーブダイアローグボックスの中で選び、 H2O.GJFという名前でセーブする。 GJFは、 ウインドウズシステムでの Gaussian インプットファイルの拡張子である(英語でGaussian Job Fileの略)。

このウインドウの右上の三つのアイコンは、 メインメニューに戻るためのものである。
| アイコン | 機能 | 相当する Fileメニューのオプション |
|---|---|---|
| メインメニューへ戻る。 | Exit | |
| メインメニューへ戻りジョブの実行を開始する。 | Exit & Run | |
| インプットを捨てメインメニューへ戻る。 | Abandon Data |
これでメインプログラムに戻る。 Output Fileのディスプレイには、 このジョブのアウトプットファイルの名前 Water.Out が表示されている。 アウトプットは Run Progress ディスプレイ下の大きなウインドウにも表示される。
Gaussian のジョブは、 二つのやり方で開始できる。
計算が進むにつれ、 ジョブ進行( Run Progress ) 表示は周期的にジョブがどのように進行しているかを時々刻々表示する。 次の例は典型的な表示である。

この行は、 ジョブがリンク301を現在実行していることを示す。 Gaussian のすべてのバージョンはLnnnなど、 リンクとして知られる約75のモジュールに分かれている。 ここでnnnは一から四桁の数である。 経験を積むにつれ、 これら多くのリンクに親しめるようになるであろう。
ジョブの実行中に、 現行のリンクの説明がスクリーンの下に現われる。
![]()
Process メニューから項目を選んだりそれに相当するアイコンを選んでジョブを途中で一旦休止したり停止したりすることができる。
アイコン |
機能 |
相当するProcess メニューの項目 |
|---|---|---|
| 直ちにジョブを休止する。 | Pause | |
| 現在のリンクの後休止する。 | Pause @ Next Link | |
| 休止したジョブを再開する。 | Resume | |
| 現在のジョブを停止する。 | Kill Job |
アウトプットは、 ジョブの進行とともにアウトプット表示に加えられる。 この部分は、 水平方向垂直方向ともにスクロールでき、 ジョブの実行中いつでも見ることができる。
ジョブが終了すると、 ジョブ進行(Run Progress)表示の部分に次のメッセージが表示される。
![]()
アウトプットウインドウは、 まだジョブからのアウトプットを表示している。 後でより詳しく調べるが、 今簡単にアウトプットを見てみることにする。
この表示は、 ジョブが成功の内に終わったことを示し、 計算機の使用量も要約されている。
これは、 アウトプットの終わりから約三つのスクリーンほど戻ったところにある。
これは、 この計算で予測された量の一つである。 このシステムのエネルギーはHartree-Fock レベルで約 -76.00987 hartreeであることを示す。
Gaussian のインプットは、 多くのやり方で作成できる。
ここでは、 最後のやり方で、 簡単にBrookhaven Protein Data Bank(PDB)のフォーマットでセーブされた水分子の構造を変換する例を示そう。
このオプションは、 既に存在するインプットファイルをオープンし、 他のフォーマットから Gaussianのインプットに変換するためのものである。 ここでは、 Brookhaven Protein Data Bank (PDB)のフォーマットでセーブされたファイルを変換する。
このオプションを選ぶと、 ファイルセレクションダイアローグボックスが現われる。

このダイアローグボックスの左下のメニューに、 オープンするファイルのタイプを指定する。 ここではGaussian のインプットファイルがデフォルトである。
NewZMat File Conversion ウインドウが現われる。

このウインドウは、 ファイルがどのように変換されるかをコントロールする。 デフォルトのファイル名は、 インプットファイルと同じで.GJFという拡張子がつく。
最初のオプション(Load Generated File)は、 作成されたインプットファイルを、 Gaussian による実行のためにメモリーにロードし、 次のオプション(Edit Generated File)は自動的に作成されたインプットのJob Entryウインドウをオープンする。
NewZMat ユーテイリテイはファイルを変換し、 Job Entryウインドウをオープンする。 ここでは、 NewZMatにより、 デフォルトの6-31G(d)の基底系を使って Hartree-Fock 計算がセットアップされた。 ファイル中の分子指定はカーテシアン座標ではなくZマトリックスになっている。 Zマトリックスによる分子指定の詳細は付録Bを見ること。
これで、 このジョブの実行がExit & Run オプションを使ってできるわけだが、 今はそれをしないで、 次のセクションで他のテクニックを使ってこのジョブの実行を行うことにする。
Gaussian にはもう一つのジョブの実行方法がある。 もしインプットファイルが既に作成されていたら、 ドラッグ&ドロップ法によってジョブを実行できる。 次の3つのステップからなる。
もし Run Dropped Files のpreferenceが設定されていると、 ジョブはドロップされるとすぐに実行が開始される。

Gaussianのアウトプットの見方を扱う次の節で、 このセットアップを用いるので、 プログラムをオープンしたまま、 ジョブが完了するのを待つ。
Gaussianは、 バッチプロセスの機能も持ち合わせている。 詳しくは、 Gaussian 94W Reference の資料を参照のこと。
これで、 ウインドウズ用のチュートリアルを終える。 次の節ではGaussian を引き続き学習していく意味で、 そのアウトプットを詳しく見てみよう。
この節では、 エディターを使って、 上で行った水分子のシングルポイントエネルギー計算のアウトプットを詳しく見ていくことにする。 UNIXと VMSのユーザーは、 エディターを使ってh2o.logのファイルをオープンする。 Gaussian のユーザーは、 どんなエディターを使ってもいいが、 メインプログラムの右上にあるEdit Output File のアイコンをクリックして、 アウトプットをオープンすることもできる。†

このアイコンは、 Gaussian のジョブが終了した後アクティブになる
このアウトプットの主な特徴を見て行くことにする。 読者はエディターで相当するところを探しながら、 欄外にあるそれぞれのコメントを読んでもらいたい。 アウトプットの結果が、 システムによって少し違うかも知れないが、 大きな差ではない。 最後の桁の数値が違っていることもあり得るが、 その違いは少数点五桁以下のものである。 これで、 Gaussian の簡単なチュートリアルを終える。 読者は、 これでGaussian が提供する種々のモデル化学を学ぶ準備ができたことになる。


